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更新日:2024年12月3日
令和6年第4回市議会定例会(令和6年12月2日)における、多賀城市長の所信表明の全文です
ただいま、議長のお許しをいただきましたので、令和6年第4回市議会定例会の開会にあたり、私の今後の市政運営に対する所信の一端を述べさせていただきます。
私が市長に就任した1期目はコロナとともに幕を開けたといっても過言ではありません。これまでの日常が変容し、様々な活動が制限される中、コロナの脅威から市民生活を守り抜くため、ノンストップで駆け抜けた4年でありました。市民、市内事業者、議員各位をはじめ、そのほかにも市内外を問わず多賀城のためにチカラを注いでくださった沢山の方々に支えていただき、ともに困難を乗り越えて今があることに深い感慨を覚えます。私の市政運営の基軸は、これまでにも申し上げてきた通り「対話」にほかなりませんが、一期4年の間に、ともに困難を乗り越え、より良いまちの未来を想い関わってくださった方々との対話によって得られた多くのことを、二期目の市政運営の推進力とすることをお誓い申し上げます。そして、一期4年間の取り組みを更に発展、深化させ、市民の皆様と力を合わせ、「日本で一番住みやすいまち、多賀城」の実現に全力を尽くしてまいります。
今、私たちは、これまでの常識やかつて経験したことを超えて激しく移り変わっていく、そんな世界の真っただ中にいます。とりわけ急速に進化するデジタル社会や、留まることを知らない、人口減少社会などは、それを物語る一つの事象といえるでしょう。今までのような感覚で、或いはこれまでと同じような考え方だけで行動していたのでは、より良い多賀城のまちづくりに向けた取り組みは停滞するやもしれません。私は、守るべきものは守り、改めるものは新ためていく、まさに「不易流行の理念」を、私自身の市政運営の軸としている「対話」の、もう一方の軸に据え、市民の皆様からの大きな期待に応えるべく、全身全霊を傾けて多賀城の未来を豊かなものにしてまいります。
私は、「市民生活の真の豊かさとは」ということを、市長に就任してからというもの、幾度も自分自身に問い掛けてまいりました。そのような中、過日、多賀城駅前での、ある光景に、その答えの一端を見たように思います。多賀城市立図書館の指定管理者であるカルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社が主催し、その運営を手掛けた、今年で2回目の開催となる「多賀城 蚤の市」での出来事です。私は、その場に集ったお客さんたちがそれぞれの顔に浮かべている「誇らし気な表情」をみて、千三百年の歴史という価値を持つこのまちに、新たな価値が創出されたことを実感したのです。アンティーク、古着、花、家具、雑貨などを扱う、こだわりのある出店者たちによって創られた、「古くて新しい空間」は、これまでの多賀城には無かった魅力という価値をその場に創出し、そうした魅力に新たな価値を見出して足を運んでくれたお客さんたちによって、更にその場の価値が高められるといった相乗効果がもたらされていたのです。私は、そのような「場」こそ、経済的豊かさだけでは充足のできない、日常生活を送る上での真の豊かさそのものだろう、と云うことに思い至ったのです。こうした「場」づくりは、多賀城駅前に誰もが訪れたくなるような図書館があるからこそ、また、カルチュア・コンビエンス・クラブ株式会社と多賀城市との官民連携があったからこそ叶ったものであり、更にこのことは、多賀城の紛れもない個性であって、これからの地域活力の源泉でもあります。私は、二期目の市政運営に向けて、民間活力との更なる連携を図るとともに、私自身も自立した一市民(いちしみん)として「民の感覚」を忘れることなく、常に市民目線に立って、「真の豊かさ」を追求する市政運営のかじ取りに邁進してまいります。
目下、東北学院大学工学部跡地で計画されている大規模な民間開発においても、市民の皆さんが日常生活を送る上で「真の豊かさ」を感じることのできる「場」づくりが進められるように、意を配してまいります。
それでは、私の市長2期目の任期4年間の市政運営において取り組んでまいります重点政策につきまして、申し述べさせていただきます。
重点政策の1つ目は、「地域の主体である市民が、心も身体も豊かで健康に暮らせるまち」を目指すための取組です。
市民誰もがこのまちで心も身体も豊かに暮らし、多賀城に生まれてよかった、住んでよかったと実感できるまちを目指します。
市内外から多くの方々が来館している、知識の宝庫と憩いの場である市立図書館や全国屈指の音響効果を有する文化センター、来年開園予定のスケートボードパークといった文化芸術及びスポーツ施設による様々なイベントや体験を通じて、多賀城の魅力と発展を市民の皆様により身近に感じてもらえるよう、必要となる取り組みに力を尽くしてまいります。
また、健康寿命延伸の観点から、大人世代や高齢者の健康づくりと日々の運動を習慣化するための取組やスポーツをする・見る・支えるといった関わり方を通じて心と身体の健康づくりを支援してまいります。
地域の主体は住民であり、これまで同様、町内会・自治会と連携しながらまちづくりを共に推進するとともに、地域ぐるみで学校運営を応援するコミュニティスクールが市内全小中学校でスタートしたことで、これまで以上に地域と学校が連携し、学校を核とした地域づくりが推進されるよう取組を進めてまいります。
さらに町内会・自治会の担い手の高齢化や担い手不足の対策としてICTの活用は不可欠であることから、積極的な活用に向けて支援してまいります。
ICT社会において、知識・技術を習得し活用することは、様々な恩恵が受けられることから、女性の再就職や高齢者の社会進出の後押しとしてリスキリングやリカレントの推進に注力してまいります。
重点政策の2つ目は、「我がまちへの誇りと愛着:シビックプライド」を醸成するための取組です。
「観光」という言葉は、中国の四書五経(ししょごきょう)の一つ「易経(えききょう)」の一文である「観国之光(くにのひかりをみる)」が語源とされ、「国の文化、政治、風俗をよく観察すること」、「国の風光(ふうこう)・文物(ぶんぶつ)を外部の人々に示すこと」というような意味を有していたといわれています。まさにシビックプライドの醸成には、この「易経(えききょう)の教え」が示すように、我がまちの魅力を自ら発信できるよう、市民一人ひとりが自分たちの地域を誇りに思い、愛着を持つということに尽きるのかもしれません。
全国各地の多くの方々に関心をお寄せいただき、実際に足を運んでいただいた多賀城創建1300年は、私が「文化観光元年」と名付けた年でもあります。多賀城創建1300年を記念し開催した多種多彩な行事に、市民をはじめ、事業者、関係自治体など多様な方々に御参画いただいたことで、多賀城ならではの地域資源の再発見・再認識につながりました。今後は多賀城創建1300年で撒いた文化創造の種が、多賀城ならではの地域資源に、多様性や創造性という付加価値をもたらすよう、引き続き「文化観光」の推進に尽力してまいります。地域おこし協力隊等を活用し、我々が未だ気づかずに眠らせているような地域資源や多賀城ならではの魅力を最大限に引き出し、新たな視点を持って多賀城の「文化観光」にイノベーションを起こしてまいります。
新たに国宝に昇格した「多賀城碑」や復元をした「多賀城南門」など、本市固有の貴重な文化資源を後世に伝えるためにも「保存」から「積極的な活用」へのポジティブアクションをより一層推進してまいります。
多賀城創建1300年の今年は、市内外のたくさんの方々に様々なイベントに御参画いただきました。と同時に多くの市民の皆様にサポーターとして御支援・御協力を賜り、多種多様な魅力ある事業を全国に発信することができたことに、私は大きな手応えを感じています。これをきっかけとして多賀城に興味関心を持っていただいた方々に対し、一人でも多く「多賀城ファン」となっていただけるよう、引き続き魅力ある事業に取り組んでまいります。
重点政策の3つ目は、地域経済の活性化とまちの賑わいを創出するための取組です。
社会構造が変化し、ライフスタイルや価値観などが多様化する中、多賀城で意欲的に働こうとする方々に対し、未来へ向けてのチャレンジを後押しすることで、可能性の種を芽吹かせ育んでいく取組を推進してまいります。
これまで取り組んできた起業・創業支援に加え、民間企業や大学と連携を強化することで、起業家や創業者の事業継続へと、しっかり繋げることのできる取り組みを進めてまいります。
市内事業者のICT活用状況を調査し、ICTの導入及び活用が促進されるように支援していくとともに、特に、電子マネーの導入により新規顧客の拡大も見込まれること、さらに、キャッシュレス化により働き手不足の解消への期待も持てることから、電子マネーの普及促進やデジタル通貨・ポイント制の導入等について、先進自治体の事例を研究してまいります。
また、障がい者の雇用創出の一助として、今年度から「チャレンジ雇用」制度を導入しておりますが、この「チャレンジ雇用」制度を通じて得ることのできる就労経験を、一般企業への正規雇用に繋げていけるよう今後も事業を継続してまいります。
新たな農業チャレンジを支援するために、体験型コンテンツによる農業の観光資源化を展開し、また、事業者とマッチングによるお試し六次産業化の支援について検討してまいります。
重点政策の4つ目は、環境に配慮したまちづくりを推進するための取組です。
市民・事業者と協力しながら、季節に応じた様々な花・植物を育て、市民や多賀城を訪れる方々を温かく迎えるために取り組んできた「多賀城版花いっぱいプロジェクト」を、今後も継続してまいります。
令和4年2月3日に表明した「ゼロカーボンシティ宣言」に基づき、これまで取り組んできた省エネ家電製品買替え支援補助金を今後も継続しつつ、新たな支援制度として市民の省エネライフを支援する取り組みをスタートさせます。
一方で多賀城市役所においても環境に負荷のかからない公用車の在り方について検討を進め、EV化をはじめ、二酸化炭素排出量の削減、また、災害時には非常用電源の供給源として活用できるような公用車の導入について先進自治体の事例を参考に調査研究してまいります。更に、公共施設に充電スタンドを設置することで、EV車の充電環境が整備され、市民や事業者等のEV車導入が促進されるようなインフラ環境の整備についても検討してまいります。
その他、様々な分野において、環境に負荷のかからない次世代エネルギーである水素等の活用を研究してまいります。
重点政策の5つ目は、時代の変化に則した行政サービスを提供するための取組です。
人口減少が進む社会において、ICT技術は、社会課題の解決や経済の発展など、様々な分野で必要不可欠なものであり、市民生活の利便向上と行政事務の効率化を図り、質の高い行政サービスを持続させるためにも、ICT技術の積極的な導入・活用を進めてまいります。
本市では、住民の移動率が県内でも非常に高く、その手続きのために多くの市民が市役所の窓口にお越しになって、順番待ちをされている光景をよく目にします。そうした現状を改善し市民サービスの利便を向上させるため、これまでに証明書類のコンビニエンスストア交付や公開型GIS等の整備により、市役所に「行かない行政」、また、多賀城公式LINEにおいて様々な申請・申込みをすることで「書かない行政」、これにより必然的に市役所にお越しになる機会が減ることで「待たない行政」の取組を進めているところですが、今後より一層の利便向上の取組を深化させてまいります。
一方で、市役所で働く職員の時間外勤務を削減し業務を効率化することによって、働き方改革の推進にも繋げるため、市役所の開庁時間の短縮を先ずは試験的に導入し、職員の働く環境の改善とより質の高い行政サービスの向上との共存共栄の実証を行ってまいります。
持続可能な行財政経営を運営していくために今年3月に改訂した「公共施設等総合管理計画」に基づき、公共施設の縮充を目指す上で、行政コストを抑えながらも、公共サービスの充実を図ってまいります。
また、社会情勢の変化を捉え、時代に則した行政サービスを提供するため、社会変革の潮流の速さに、行政活動を順応させるとともに、将来都市像「日々のよろこびふくらむまち 史都 多賀城」の実現に向け、限りある経営資源や財源を、重点化することによって事業効果を最大限に高めてまいります。一方で事業の成果を検証しながら、又は、社会状況の変化に合わせて見直しや改善を全ての事業を対象として不断に進めてまいります。そのためには、議員各位や市民からの先進的かつ斬新な事業見直しの提案をいつでもお待ちしておりますので、是非共に行政改革に取り組んでまいりましょう。
さらに2市3町における広域連携を観光、防災、地域医療の分野において強化するほか、産学官連携の充実を図り、住民福祉の向上を図ってまいります。その際、現下の課題解決に必要な事業への財政支出は惜しむことなく、一方で、各種政策の成果を見極め、選択と集中を図り、次世代に過度な負担を残すことのないよう行政のスリム化や財源確保を実現してまいります。
重点政策の6つ目は、多賀城の未来を担う子ども達の子育ちの力を最大限発揮させるための取組です。
少子化による人口減少は、喫緊の課題であり、これまでもその克服のために子育て世代が子育てしやすい仕組みを充実させ、次の世代である若者が安心して住み、子育てしやすい環境が整っていると感じられるような子育て支援に全力を挙げてきました。
今後は、子育て・子育ち支援をより一層推進していくために、次の視点を重視し、子育て・子育ち関係事業のアップデートを図ってまいります。
一つ目には、子育て支援にあっては保護者自身の「子育て力(こそだてりょく)」を最大限引き出すこと、二つ目には、子育ち支援にあっては子ども自身が既に持っている「育つ力(そだつちから)」を最大限に引き出すことを目指し地域と家庭が一緒になって取り組むことを推進してまいります。
また近年は、子ども達の環境変化に合わせた多様な居場所が求められており、家庭と学校以外の「第三の居場所」としてサードプレイスの設置について官民連携のもと進めてまいります。
子ども達には無限の可能性があります。子ども達が自らの力によって将来の夢を実現できるよう市民全員が全力で応援できる環境づくりに力を尽くします。
私が1期目の公約によって開催してきた「多賀城若者会議」は、今年の3月末で一旦終了させたところですが、その後この会議に参加してくれた若者自身が自主的に運営を続けてくれています。若者の力は無限大です。私はこうした若者が、まちづくりの主体となり議論できる場を今後も持ち続けられるように力を尽くしてまいります。加えて、若者の豊かな感性を育むことによって多賀城の未来を彩る、若きアーティストの育成にも取り組んでまいります。
以上が私の二期目となる4年間の政策の大きな枠組みであります。
私は、この度の市長選挙は、私の公約に掲げた政策への強い期待が民意に反映された結果と捉えています。
多賀城創建千三百年という日本の歴史にも刻まれるこの記念すべき年に、市長を務めさせていただいた私の役目は、次の千年先に向けて、多くの喜びと幸せを連綿と繋げていくことと思っています。そのためには、このまちで生まれ、このまちで暮らしている皆さんが、自分たちばかりでなく、子どもたちや孫たちまでもが、「この多賀城で暮らし続けていきたい」と思えるまちを創っていくということが何より大切なことであり、それを実現することが私に課せられた重大な使命であるとの想いを強く持ちます。
今、人口減少が進むこの社会で求められているのは個人の価値観の多様化です。そうした中、子どもから高齢者まで、性別や世代を問わず、全ての市民が多様な価値観の下で、個性を生かし、共に生きることのできる社会の実現は、人口減少を憂いていたのでは決して叶うことはありません。むしろ、人口減少を変革へのチャンスと捉え、希望と誇りを持って暮らすことのできる未来を、市民一人ひとりの手で切り拓いていくという強い思いがなければ困難です。私は私自身がその先頭に立って、聖域なく取り組む所存ですが、行政活動との両輪を為す市議会の絶大なる御協力は不可欠です。どうかこれまで以上に、市議会議員の皆様には格別な御指導御鞭撻をお願い申し上げ、私の市長二期目の所信表明といたします。
令和6年12月2日
多賀城市長 深谷 晃祐
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