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更新日:2023年2月7日

所信表明(平成26年第3回定例会)

平成26年第3回市議会定例会(平成26年9月9日)における、多賀城市長の所信表明の全文です。

 はじめに

ただいま、議長のお許しをいただきましたので、平成26年第3回市議会定例会の開会にあたり、市政運営に関します所信の一端を述べさせていただきます。

過日、行われました市長選挙におきまして市民の皆様から温かいご支持、ご支援を賜り、引き続き3期目の市政をお預かりすることになりました。その任にあたりますことは、身に余る光栄でありますとともに、身の引き締まる思いでございます。今後とも市勢発展のため誠心誠意、一所懸命に取り組んでまいりますことを改めてお誓い申し上げます。

私は、長い歴史の中で、先人が営々と築き上げてきたこのすばらしいまち多賀城を未来に引き継ぐとともに、住んでみたい、住んでよかったと思ってもらえるような魅力あるまちとすることを最大の使命として、これまで市民の皆様とともに取り組んでまいりました。

私が8年前に市長に就任した当時の我が国の経済は、円高やデフレによる出口が見えない構造不況の中にあり、雇用も極めて不安定な状況でありました。また、地方の行財政分野におきましても、「国庫補助負担金の削減」、「税源の移譲」、「地方交付税の改革」、いわゆる三位一体の改革の影響を強く受け、安定的な市政運営の継続に苦慮する状況にありました。そのため、財政の健全性を維持しつつも、重点課題には集中的に対応することとし、高い確率で発生が予想されていた宮城県沖地震に備えて、学校施設の耐震化に力を注いでまいりました。その甲斐あって、東日本大震災では市内の児童・生徒に一人も犠牲者を出さずに済んだことは、悲惨な震災の中での一筋の光明でもありました。

本市にも歴史的大被害をもたらした東日本大震災の発生は、市長2期目就任の半年後のことでした。当時を振り返ると、日々明らかになってくる被害の状況、犠牲者の数、被災した方々がひしめきあう避難所、街中にあふれる瓦礫など、発災直後の混乱の中、先の見えない不安と焦燥、そして被災自治体の長として、未曾有の自然災害に対峙し、一刻も早い郷土の復旧・復興への決意を固く誓った日々が蘇ってまいります。

自衛隊や警察、消防の皆様の命がけの救助活動や建設災害防止協議会の献身的な復旧活動、国・県の復興支援に加え、友好都市をはじめ、全国各地から多くの温かいご支援、議会のご理解、そして何よりも市民の皆様のがんばりによりまして、復旧・復興事業が極めて順調に進んでいると言っていただけるまでになりました。

震災からの復旧、復興は「震災復興計画」を策定した私が、自ら成し遂げる気概で今後4年間、粉骨砕身取り組んでまいる所存でありますので、議員各位におかれましては、今後ともご支援を賜りますよう心からお願いを申し上げます。

 市政運営の方向性

それでは、これからの市政運営の方向性につきまして、市民の皆様にお約束いたしました主要な内容について述べさせていただきます。

 被災者の皆様の一日も早い生活再建

初めに、東日本大震災で被災した皆様の生活再建に対する支援についてでございます。

本市は、東日本大震災により発生した津波により、市域の約3分の1が浸水するという甚大な被害を受けました。平成26年7月末現在で、市内6箇所の応急仮設住宅には289戸、526人が、また、みなし仮設住宅には約800世帯の方が入居されております。

被災者の皆様に一日でも早く生活を再建していただけるよう、市内4箇所の災害公営住宅の早期完成に取り組み、当初予定しておりました応急仮設住宅の集約は行わず、平成28年6月末には全ての応急仮設住宅の解消を目指してまいります。

また、住宅再建を希望する被災者の皆様の経済的な負担を軽減するため、被災者住宅再建補助事業を大幅に拡充して、被災者の住宅再建を後押しするとともに、宮内地区被災市街地復興土地区画整理事業の早期完成を目指すなど、常に被災した皆様に寄り添いながら行政運営を行ってまいります。

 「減災都市 多賀城」の実現

次に、減災都市づくりについてでございます。

昨年11月に、人命を第一に考え、災害に備え、災害による被害を極力減じ、迅速に復旧復興するまちを目指して、「減災都市」を宣言いたしました。災害に強いまちづくりのため、清水沢多賀城線、笠神八幡線などの避難物流路や津波防御施設の整備、橋梁などの公共基盤施設の耐震化、震災に起因する地盤沈下等による雨水排水困難地区解消のためのポンプ場や雨水幹線などの公共下水道雨水施設の整備を進めてまいります。

水道施設については、安全・安心な水道水を安定供給するため、災害に強い施設整備を、新水道ビジョン及び長寿命化計画に基づき進めてまいります。

また、防災拠点を充実し、災害時の救助、救援、避難、復旧等の実施体制を確立するとともに、子どもたちやお母さん方を含めた多くの市民の皆様の減災意識向上につながるソフト対策を継続的に進めていくことによって、東日本大震災の経験、教訓を後世に伝える、被災経験の伝承にも取り組んでまいります。

 「創造的復興」の実現

次に創造的復興についてですが、多賀城駅周辺の整備により、約40年にわたる本市の中心市街地創出の取組みが、いよいよ具現化してまいりました。

中心市街地の拠点施設として整備する再開発ビルは、市立図書館と書店の併設による文化的社会基盤としての「知の拠点」となり、この「知の拠点」と全国屈指の音響性能を有する文化センター、さらには「東北歴史博物館」、「特別史跡地区」を有機的に結ぶ「東北随一の文化交流都市」を創造し、文化に触れる場所や空間と、人と人との出会いや交流の場を創出してまいります。

また、多賀城インターチェンジの開通時期にあわせて「奈良東大寺展」を誘致するなど、東北歴史博物館の企画展の充実を働きかけてまいります。

10年後の平成36年(西暦2024年)には多賀城創建1,300年を迎えますが、多賀城外郭南門の復元についても検討を進めてまいります。

私は、あの大震災以降、「国立地震津波ミュージアム」の誘致に取り組む旨を表明してまいりました。これは、我が国の国立博物館が東京、京都、奈良、九州の4館のみであり、全て東京より西に立地している現状から、この東北の地にも我が国の貴重な歴史や文化財を学ぶことができる国立博物館が是非とも必要であるとの認識の下、東日本大震災の発生を受け、東北地方が有する貴重な歴史、文化財に加えて、地震、津波を初めとする自然災害を扱う博物館の立地が、震災の伝承や減災文化普及の意味からも必要と考えるに至ったためであります。

東北を代表する歴史的な都市といえば、三内丸山遺跡を有する青森市、世界遺産の平泉町(ひらいずみちょう)、そしてここ多賀城市もその一つに挙げられますが、これらの都市のうち東日本大震災による津波被災地は多賀城市だけであります。その意味で、施設の立地には多賀城市が最もふさわしいとの思いから、これまで機会あるごとに各方面に発信をしてまいりました。福岡県太宰府市に立地する九州国立博物館の設立は、長い年月を費やして九州全域を挙げた誘致活動に取り組んだ結果、実現したものであります。「国立地震津波ミュージアム」の誘致には長い時間を要すると存じますが、市長3期目のスタートに当たり、改めて誘致活動に取り組むことを表明いたします。皆様のご理解とご支援をお願い申し上げます。

 生みやすく育てやすい「のびのび子育て都市」

次に子育て支援についてですが、乳幼児期の教育・保育の総合的な提供や待機児童対策の推進、地域での子育て支援の充実を図ることを目的とする「子ども・子育て支援新制度」が平成27年度から全国的にスタートすることとなっております。この新しい制度に対応しながら、「すくっぴープラン」や「食育推進プラン」などの各種計画に基づき、総合的な子育て支援策を確立します。

また、就労形態の多様化などにより高まっている保育需要に対しては、私立(わたくしりつ)保育所の誘致など民間の保育事業参入を促し、待機児童の減少に努めるとともに、多賀城駅北再開発ビルに「子育てサポートセンター」を移転し、施設設備、サービスともに充実させてまいります。

さらに、心身障害児通園施設「太陽の家」を児童福祉法に基づく「児童発達支援センター」に移行して地域療育体制を整備し、心身に障害を持つお子さんやその保護者などに対して切れ目のない療育支援を行ってまいります。

また、学校教育に関しましては、理科教育や音楽教育、特別支援教育など本市独自の教育を推進するとともに、東北学院大学との連携を強化し、教育環境の更なる充実を進めてまいります。

 地域産業の活性化は元気の源

次に、地域の元気の源となる産業振興についてですが、東日本大震災では多くの事業所が被災されました。そのため、被災事業所の復興支援策として「中小企業等グループ施設等復旧整備補助制度」の積極的な活用を推奨し、本市が把握している分で約85億円の補助金を獲得し、多くの事業所の復興に役立てていただきました。

今後は、公共下水道雨水施設の整備や津波防御施設の整備を促進し、既存工場地帯の減災対策を進め、工場地帯に立地する企業の更なる発展を支援してまいります。さらに、八幡字一本柳地区における津波復興拠点整備事業を促進し、新たな工場等を誘致・集積し、雇用の場を確保するとともに、進出企業との連携により、工場施設や生産工程等を見学していただく「産業観光」を創出してまいります。

また、多賀城・七ヶ浜商工会と連携を深め、商工業の活性化を支援してまいります。

次に観光の振興についてでございます。市内には既にいくつかの市民活動団体が発足し、活発な活動を行っております。これらの団体及び観光協会や商工会など関係団体と連携・協力しながら取り組んでまいりますが、本市の観光のあり方について議論する場として官民協働のプロジェクトチームを組織してまいります。こうした取組みを経て、地域の資源を最大限活用し、観光振興に努めてまいります。

農業につきましては、大区画ほ場整備を促進し、生産基盤の強化と生産性の向上、担い手の育成を図るとともに、新しい経営形態としての農業法人化の促進などについて支援してまいります。

また、農産物の加工及び販売を有機的に行う6次産業化を支援してまいります。

 陽気で「すこやか健康都市」

次に、市民の健康づくり支援についてですが、生涯にわたり健やかに暮らせるよう、各種検診や健康増進事業を充実し、健康寿命を延ばす取組みに引き続き力を入れてまいります。

健康づくりは継続して実践していくことが重要ですので、公園への健康遊具の設置やウォーキングマップの作成など、身近で手軽に健康づくりに取り組める環境整備を進めてまいります。

また、高齢者や障害者に優しいまちづくりを継続して推進してまいります。

東日本大震災の発生により、現在、多賀城公園野球場は仮設住宅用地となっており、野球場利用者の皆様にはご不便をおかけしております。

災害公営住宅の完成に合わせて、平成28年6月末までの仮設住宅解消を目指してまいりますので、その後、直ちに野球場の復旧工事を行い、できるだけ早期に利用していただけるよう取り組んでまいります。

また、中央公園についても引き続き整備を進め、スポーツ環境の充実に取り組んでまいります。

 便利で快適な生活都市の形成

本市は、国道45号や産業道路、三陸自動車道などの幹線道路が整備されているほか、市民が利用可能なJR線の駅が市内外に7つあるなど、交通利便性が非常に高いまちです。

JR仙石線多賀城駅周辺整備の進捗にあわせて、長崎屋跡地の土地利用を促進し、南口駅前広場及び駅前公園をリニューアルするとともに、下馬駅前広場のリニューアルを推進し、より便利で快適な都市基盤の形成に取り組んでまいります。

また、歴史的風致維持向上計画に基づき、歴史的な街並みの整備を促進し、品格と魅力を兼ね備えたまちの実現に取り組んでまいりますとともに、特別史跡地区に隣接する中央公園の整備を促進してまいります。

 進化する市民協働のまちづくりと最先端の行政運営

次に、市民協働のまちづくりと行政経営についてですが、市長就任以来取り組んできた市民協働の礎となる市民との対話を継続し、市民協働のさらなる深化を図るため、「おばんです懇談会」を引き続き実施してまいります。

また、町内会などの住民自治組織活動を支援し、地域社会において多くの市民がそれぞれの役割を担い、地域活動に参画し、住民自治組織が主体的に地域の問題解決活動を展開できる取り組みを支援してまいります。

エレベーターの新設や交流スペースの増設、使い勝手の良い会議室への改修等により、さらに利用しやすくなった市民活動サポートセンターにつきましては、市民活動や非営利活動の拠点施設として活用されるよう、引き続き活動支援を強化してまいります。

行政運営については、行政評価、人事評価が連動して機能する行政経営システムを運用し、行政の効率化と透明化を推進するとともに、健全な財政運営に努めてまいります。

各種事務事業の実施については、アウトソーシングを推進し、サービス向上とコスト削減の同時達成を図ります。

 2040年消滅可能性都市問題

最後に、人口減少問題についてでございます。本年5月8日に増田 寛也 元総務大臣が座長を務める日本創生会議・人口減少問題検討分科会が「ストップ少子化・地方元気戦略」を発表しましたが、人口の再生産力を示す若年女性が2040年までの間に50%以上減少する市町村が全国で896の団体に上り、将来的には消滅するおそれがあるという、大変ショッキングな内容でした。

このレポートでは、1.日本の人口減少は「待ったなし」の状態にあることを国民が正確かつ冷静に認識すること、2.事態への対応を先延ばししないこと、3.若者が自らの希望に基づき結婚し、子どもを産み、育てることができる社会をつくることが人口減少の流れをストップさせる基本方策であり、男性が働き方を変え、育児に主体的に参画する一方で、女性が能力を活かして社会で活躍できるようにすることが、人口減少を克服するための基本姿勢として求められているとしています。

さらに、このレポートでは、地方の人口減少の最大要因は若者の大都市への流出であり、これが日本全体の少子化に拍車をかけていること、を指摘し、地方から大都市への「人の流れ」を変えること、特に、「東京一極集中」に歯止めをかけることを基本目標とすべきであるとしています。そのためには、それぞれの地域が若者にとって魅力ある地域であること、また、雇用の場が確保されていることなどが求められていると言及しています。

地方の人口減少に歯止めをかけ、地方を活性化するために安倍総理大臣は「まち・ひと・しごと創生本部」を設立し、秋の臨時国会には地方支援に関する法改正が予定されています。

我が多賀城市においても、まちの魅力を高め、雇用の場を確保し、若者がいきいきと働くことができ、子どもを産み、育てやすい環境をつくり上げることが極めて重要になっておりますが、その意味においても、「東北随一の文化交流都市」づくりや八幡字一本柳地区への新たな産業の集積は、まさに今後のまちづくりに必要な取り組みであり、改めて事業促進への誓いを新たにしたところでございます。

この人口減少問題に対応するため、私が本部長を務め、部長以上をメンバーとする「人口減少対策本部」を庁内に立ち上げました。庁内各部が連携して総合的な戦略を検討するとともに、各種施策や事務事業の策定、構築に当たっては、人口減少問題に対応する視点で取り組んでまいりたいと考えております。

 むすび

以上、3期目の市政運営にあたり、所信の一端を述べさせていただきました。申し上げました内容は、基本的に第五次多賀城市総合計画及び多賀城市震災復興計画に基づいたものであり、両計画に掲げました将来都市像、復興ビジョンの実現に向け、継続して取り組んでまいります。

私のまちづくりの基本理念は「市民が主役」であり、市民協働によるまちづくりこそが、温かく、幸せな地域社会の構築に不可欠であるとの認識の下、市民の皆様との対話を行い、ともに知恵を出し合い、汗を流し、力を合わせながら、歩んでまいりたいと考えております。ただいま申し上げましたどの施策も、議員各位をはじめ、市民の皆様のご理解とご協力なくして、実現できるものではありません。私はこれからの4年間、これまで蒔いてきた種を育て、花を咲かせるため、全身全霊を尽くす所存でございます。皆様方には、今後とも、格別のご指導ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げまして、所信表明とさせていただきます。

平成26年9月9日

多賀城市長 菊地 健次郎

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