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更新日:2022年4月21日
ほ場整備事業に伴う山王遺跡第178次調査では、古代の遺構が多数発見されています。
道路跡では、南北大路から数えて西に6つ目に当たる西6道路などが発見されています。
土壙(どこう)からは、平安時代の土器がまとまって出土しました。
平安時代の土器出土状況
同じ頃の井戸跡も発見されています。
平安時代の井戸跡
中央の白い層が、10世紀前葉頃に降下した灰白色火山灰(かいはくしょくかざんばい)です。中央の下部に見えている木材が、唯一残存していた井戸の木枠です。
山王187~191次調査区全景(上が北)
(画像は、平成28年度に実施した173~176次調査区をデジタル合成したもの)
山王四区で行っている山王187~191次調査も大詰めを迎えています。
今回の調査では古代の区画溝や、井戸跡を発見しています。
山王189次調査区全景(上が北)
189次調査区で発見した井戸跡は、櫃(ひつ)を転用して木枠にしたと考えられる、大変珍しいタイプの井戸です。
山王189次調査区南西で検出された井戸枠の調査状況
(北から)
本来の用途と異なる道具の使用を、「転用(てんよう)」と呼びます。
似たような例ですと発掘速報でお知らせした内館館跡の井戸跡が挙げられます。
また、活動速報でお知らせした温石についても、石製の硯を転用したものがあります。
資源の再利用という可能性のほかに、転用部材を用いること自体に特別な意味を見出した可能性などが考えられます。
人と道具の関係を考えるうえで大変興味深い事例と言えます。
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